博士課程2012年4月~2013年3月
ご指導頂いた先生方のおかげで、現職のまま博士前期から後期課程までを修了させて頂きました。嬉しい思いとともに、寂しい思いもあります。私の場合、大学院に入学した目的が、学位の取得のみではなく、研究論文の作成プロセスを堪能することでもあったからです。
仕事との両立という点では、埼玉大学大学院経済科学研究科は「社会人にも」ではなく「社会人のために」門戸を開いている大学院で、教員や事務員の方々も「社会人慣れ」しているので助かりました。社会人には大変に居心地の良い研究環境が提供されています。
仕事に関連して多様な知識の習得が必要で、様々な資格の取得も求められ、それらのために積み重ねてきた知識と経験は、既にMBA型大学院で修得するような内容を含み、実社会での多様な経験から生じる問題意識は、単一の研究領域の枠組みを超えた学際的な研究テーマとなってしまいます。「経済科学研究科」という名称は、そのような学際性の研究を志向する大学院であることを表現しているそうです。学際的な研究論文の作成を指導する体制を整えている貴重な研究科であることが特徴だと思います。
論文の作成では、与えられた課題を解くのではなく、独創性のある課題を自ら見出し解明することが求められるので、その課題を産み出すまでの苦しみが楽しめます。
私の場合、論文を作成するプロセスでは、風邪で1週間寝込んでも期限に間に合わなかった状況で、脳力以上に相当の寝不足にも耐える体力と途中で諦めない気力が問われ、それが明暗の分かれ目でしたから、天運にも恵まれたと感慨無量です。
後期課程(博士)では、博士論文の提出要件であるプロジェクト研究と報告会の実施、学会発表や査読付論文の投稿等の研究実績というものが必要とされるため、これらも計画的にこなしておく必要があります。社会人として日頃鍛えてきたスケジュール管理や根回し等のマネジメントやコミュニケーションのスキルが活かされる局面でもあります。
このような大変そうなことと並行して、先生方や院生(といっても、既にその道の専門家も多い)相互の議論や場外乱闘(飲み会)等の楽しみもあり、利害関係のない“give&take”できる交友は、楽しい時間を与えてくれます。
研究と仕事と日常生活の三方両立は、しばしば困難に直面しますが、それを乗り越えたときの達成感があり、後からまた振り返ると、それが楽しかったと思えます。いろいろな意味で得たものが多く、チャレンジして良かったと実感できるキャンパス・ライフでした。
※修了生の所属先は、原稿作成時のものです