修了生の声

忙しい社会人のために平日夜間・土曜日に通える経済経営系大学院

menu

博士後期課程修了生(2022年度)
朴 峻喜 (立教大学経済学部助教)

なぜ大学院で研究しようと思ったか

私は、もともと韓国釜山大学の博士課程の学生でした。交換留学で偶然に埼玉大学に来たのですが、埼玉大学の研究指導体制に魅力を感じ、埼玉大学に進学することになりました。もともと、「労働」に関して関心を持っていて、もっと深く研究がしたく、大学院に進学することになりました。

どのような研究テーマで研究をしたか

私は、これまでに労働現場で発生している労働問題を把握し、その問題をめぐる労使の対応を明らかにする研究を進めてきました。博士論文では、新自由主義労働政策(いわゆる新公共経営管理)のもとで、韓国鉄道の労使関係がいかに変化したのかを歴史的に明らかにしました。また、韓国鉄道労働組合の事例を通して、社会公共性という概念を中心に連帯が発生するメカニズムを検討しました。韓国は、日本の旧国鉄のように国営として鉄道を運営していましたが、新自由主義労働政策を推進する流れの中で鉄道を民営化しようとする動きがありました。この際、鉄道組合は、大学生、市民団体との連帯を行い、鉄道民営化を阻止しました。当時、鉄道労働組合では民営化を阻止するためにストをする一方、社会公共性という概念を提案して、ストに対する社会的な支持と支援を受けました。私は、鉄道労働組合が提案した社会公共性という概念の意味を分析しながら、市民団体と一般市民(特に大学生)が鉄道労働組合のストを支持・支援した理由とメカニズムを分析しました。

どのように研究が進んだか

埼玉大学には、「労働研究会」という労働分野を専門とする先生方が一緒に運営するゼミがあります。その研究会に毎回参加し、先生方からのコメント、そして他の学生からのコメントをもらいながら研究を進めました。埼玉大学の長所は、1)労働分野を専門としている先生方が多いこと、そして、2)社会人、留学生、若い学生など、多様な学生がいることであり、そのため色々な経験をした先生および学生と一緒に議論ができることだと思います。労働研究会で自分の研究に関して報告し、悩みを相談することができたので、そのコメントをもとに研究を進めました。D1次は、テーマを決めることや調査方法などについて報告し、D2次には章立てなど博士論文の全体構成を考え、1章ずつ研究を進めることができました。そして、D3からは学会報告や専門学術誌に論文を投稿しながら、博士論文を完成させました。

実際にどうやって仕事と両立したか

私は、そもそも学生として留学に来たため、仕事はしていませんでした。仕事をしないと、経済的な困難はありますが、以下のように生活をしながら研究を進めることができました。

第一に、埼玉大学のTA・RAを務めることにより、経済的負担を減らすことができました。第二に、奨学金をもらい、生活の困難を克服し研究に集中することができました。D2から2年間は、「米山記念奨学会」から奨学金(月14万円)をもらい、D4の1年間は「渥美国際交流財団」から奨学金(月25万円)をもらいながら研究に集中することができました。もちろん、博士課程の時に奨学生になるためには、自分の研究計画や研究内容を奨学会にアピールする必要があります。先ほど述べた「労働研究会」での発表経験が豊富であったため、奨学会にアピールすることができたと思います。

研究をしてみて、どのようなことが得られたか

私は、埼玉大学に進学する前には、自分自身が研究のできる人間だとは全く思いませんでした。深く考えることができず、分析よりは自分の感覚で社会を理解しようとする癖があったからです。しかし、埼玉大学のゼミで、「実証」をすることの重要性、そして「実証の方法」を学べることができ、「分析する力」、また「自分で研究できる力」を得られたと思います。その力をもとに、大学教員として、一人の研究者として最初の大事な一歩を踏み出すことができたと思います。

博士前期課程修了生
年度 指名
2023 Batjin Natsagdorj
2023 Xiao Yao
2022 匿名(Anonymous)
2022 Ma Minghui
2022 増井 正幸
2021 修了生(匿名希望)
2020 角三 美穂
2019 修了生(匿名希望)
2018 橋本 武敏
2018 椙江 亮介
2015 平岡 憲道
2015 八藤後 聡
2014 市川 千尋
2007 小南 和雄
博士後期課程修了生
年度 指名
2022 朴 峻喜
2021 高山 和夫
2020 天達 泰章
2019 杉山 敏啓
2019 須内 康史
2018 神尾 真次
2018 宮本 弘之
2015 深谷 正廣
2015 田中 恒行
2014 蔡 玉成(さい ぎょくせい)
2012 孔 繁智
2012 酒巻 雅純
2012 目 篤
2012 鈴木 芳治
2011 植林 茂
2010 劉 博
2007 大江 清一
2006 神津 多可思