修了生の声

忙しい社会人のために平日夜間・土曜日に通える経済経営系大学院

menu

博士後期課程修了生(2019年度)
須内 康史

なぜ大学院で研究しようと思ったか

社会人としてこれまで仕事で得てきた経験を、体系的に整理し理論的に展開してみたいと思ったことが、大学院での研究をしようと思ったきっかけです。個々の業務を通じて得られる経験は貴重なものですが、どうしても個別具体的な対応が早期に求められる傾向があります。 実務年数を経るに連れて経験が蓄積されていく中で、論理的な裏付けを強化したい、理論的にあるべき姿をとらえたいという思いが強くなっていきました。

仕事と両立できる社会人向けの大学院を探して行く中で、埼玉大学の大学院が社会人向けに博士前期課程から後期課程まで一貫して学べる経済経営専攻を設けていることを知りました。サテライトキャンパスが東京にありオフィスからの通学も可能であること、そして知識の習得にとどまらず自身の問題意識をアカデミックに展開する学術論文の作成が重視されていることに魅力を感じ、埼玉大学大学院での研究を志しました。

どのようなテーマで研究をしたか

私はこれまで開発途上国における官民連携(PPP)事業の実務に携わった経験がありましたので、PPPを研究テーマとしました。その中でも、実務経験の中で問題意識を深めていたPPPにおけるリスクアロケーションのあり方、さらにそこで政府が果たすべき役割についてフォーカスしました。

自身の問題意識に基づく研究テーマは設定できたものの、それをどのようにアカデミックな研究として深めて掘り下げていくかは、入学後の課題であり、大いに苦労した点でもあります。様々に試行錯誤する中で、主指導教官と議論を行い多くの示唆を頂くことで事例研究や実証研究の方向性を導き出すことができました。

どのように研究が進んだか

私は博士前期課程と後期課程を続けて修了したのですが、入学の前までは学術的な分析・アプローチの経験が乏しかったため、指導教官の先生方に様々に指導いただきながら研究を進めました。

まずは研究テーマであるPPPの分野の先行研究を幅広くリサーチして、自身のフォーカスする領域に近い論文を数多く読み、先行研究の成果や分析手法の把握に努めました。その際にサーベイ論文を活用したことは、先行研究の全体像・概観をつかむ上で有効であったと感じています。

博士前期過程では、先行研究に基づき自身の問題意識を理論的に体系化することに努め、あわせて事例研究を行いました。博士後期課程では、前期課程の成果をベースとして、そこから導き出した仮説についての実証研究を進めました。実証研究においては仮説の導出、実証の方法論の検討、そして実証分析による仮説の検証へと研究を進めたのですが、手探りで進めるところが多く、試行錯誤の連続でした。壁にぶつかっては主指導教官とディスカッションを行い再検討することを繰り返す中で、実証研究の最終的な方向性を見出すことができました。また、論文作成の過程でプロジェクト研究会や 論文検討会で議論を行い、そこで頂いた副指導教官からの客観的な指摘や助言が大きな気付きとなり、論文の改善・完成につながりました。

研究が進む中で、学会誌への投稿を行ったことも、論文完成へ向けての大きなマイルストーンとなりました。査読における指摘事項への対応は慣れていないこともあり非常に苦労しましたが、査読を通過して論文が掲載された時はたいへん嬉しく、また自信につながりました。

実際にどうやって仕事と両立したか

仕事との両立は社会人にとって常に大きなチャレンジであると思います。埼玉大学の大学院では、プログラムが社会人向けに夜間・週末に組まれたものであることや、サテライトキャンパスへのアクセスもしやすかったことが大きな助けとなりました。また、若い頃に海外の大学院で修了したMBAでの取得科目を博士前期課程において単位認定する制度があったことも、早期の修了につながった点です。

論文作成にあたっては、実証に必要なデータベースの構築や論文の核となる章の執筆などは時間をとって行うことが必要と考え、ゴールデン・ウィークや夏季休暇期間などのまとまった休みを活用して集中的に行いました。論文の最終段階では、毎週末をフルに使って仕上げました。そして何よりも、仕事との兼ね合いで時間的制約を抱える中でアカデミックな経験に乏しい私が博士課程を修了できたのは、主指導教官がメールや週末での相談・指導に柔軟に対応して下さり、そこで数々の指導・助言を頂いたおかげであり、心より感謝申し上げたいと思います。

研究をしてみて、どのようなことが得られたか

ひとことで言い表すのは難しいのですが、埼玉大学大学院での研究を通じて、これまで仕事で得られていた業務の経験を学術的裏付けと結びつけることができたことは、私にとって大きな成果でした。また、実務経験を通じて有していた問題意識に基づく仮説を導出し、その仮説を学術的に実証することができたことは、大いなる喜びとなっています。

そして、今後に向けては、自身がこれまで培ってきた実務的な見方や対処に加えて、物事を学術的・理論的に捉え、新たな視点を持ってアプローチする広がりを持たせてくれると期待しており、それを自らの手で体現していきたいと思っています。

博士前期課程修了生
年度 指名
2023 Batjin Natsagdorj
2023 Xiao Yao
2022 匿名(Anonymous)
2022 Ma Minghui
2022 増井 正幸
2021 修了生(匿名希望)
2020 角三 美穂
2019 修了生(匿名希望)
2018 橋本 武敏
2018 椙江 亮介
2015 平岡 憲道
2015 八藤後 聡
2014 市川 千尋
2007 小南 和雄
博士後期課程修了生
年度 指名
2022 朴 峻喜
2021 高山 和夫
2020 天達 泰章
2019 杉山 敏啓
2019 須内 康史
2018 神尾 真次
2018 宮本 弘之
2015 深谷 正廣
2015 田中 恒行
2014 蔡 玉成(さい ぎょくせい)
2012 孔 繁智
2012 酒巻 雅純
2012 目 篤
2012 鈴木 芳治
2011 植林 茂
2010 劉 博
2007 大江 清一
2006 神津 多可思