修了生の声

忙しい社会人のために平日夜間・土曜日に通える経済経営系大学院

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博士前期課程修了生(2018年度)
椙江 亮介

なぜ大学院で研究しようと思ったか

大学院に入学時は、コンサルティング会社に勤めており、テクノロジー分野のコンサルティング業務を推進していました。業務を推進する中で、経営戦略分野とテクノロジー分野を緻密に結びつかせることでクライアント企業に付加価値をもたらすのではないかと問題意識を持ち始めました。

また、実際にITのシステムを構築する現場を通して、経営戦略部分とテクノロジー部分の統合が取れていないと感じる多くの経験をしたのですが、それがわかっていながらも会社として利益を生むために提案・システム構築を遂行せざるを得ない状況があり、その結果、経営層とシステムを構築・運営する現場の両方にとって不幸な結果を生み出してしまうところを見てきました。

その経験を通して自分に経営戦略分野の知識が足りていないことを悟り、経営戦略分野の目線に立った時に問題や課題に対してどのように向き合い解決していく必要があるのかを論理的、体系的に学ぶことが必要だと感じました。そのため、大学院の研究や先生、社会人の生徒とのディスカッションを通じて実務レベルで活かせる考え方を身に付けて、現場で実践できることに期待して社会人大学院で研究しようと思いました。

どのようなテーマで研究をしたか

実務で活かすために経営戦略分野とテクノロジー分野の両方に関連するテーマを選定する必要がありました。そのため、M&Aによる組織学習をテーマにしました。

日本企業も今後は、M&Aの件数が増えて来ることが予想され、それと同時にシステム統合の案件も増加していきます。M&Aの成功率が非常に低いとされている中で、企業がM&Aによって獲得した形式知・暗黙知を含む知識をどのように組織内で認識させ共有することができたかについて、プロセスを明確化し、それによって企業のパフォーマンスにどのように影響を与えるかについて研究しました。

どのように研究が進んだか

主指導の朴先生、副指導の宇田川先生、石先生の授業や演習がある度に現在の論文の進捗状況等を報告し、悩んでいる点や進めた方についてアドバイスをいただき、そのアドバイスに基づき進めることが出来ました。特に中間報告会では、3人の指導教員と集まる(※)ことで充実したディスカッションから明確なアドバイスをいただけることが出来て、そこから急速に修士論文作成までのゴールの道筋が見えるようになったと思います。(※修士論文作成プログラムでは2名の指導教員が、インテンシブプログラムでは3名の指導教員が修士論文作成を指導します。)

私の場合、一年目の時に先行研究の読み方、また、それに関する論文の探し方やケース・スタディの方法論について学ぶことを勧められたため、それに従い準備しました。自分の研究したい内容をそれと同時に整理し、ケース・スタディを行う企業をどこにするか検討しました。

私がケース・スタディを行う企業選定のこだわりとして、自分が現在の仕事で関わっていない業種にしようと思いました。仕事で関わっている企業である場合、客観的な視点を持つことが難しくなることを懸念しました。そこで、私が事務局を行っている研究会に参加していただいている企業の事業部長の方に研究したい内容を説明し、アンケート調査とインタビュー調査を実施することで修士論文を作成しました。

実際にどうやって仕事と両立したか

主に授業への参加(単位取得)と論文作成の二つのミッションがあると思います。 授業は18時30分から開始するため、20代後半でコンサルティング会社に勤めて、クライアント企業に常駐しながら、週にいくつか授業のある日を18時に帰宅することの難易度は非常に高くて苦労しました。2ヶ月程継続させてみましたが、授業の無い日に負荷が掛かりすぎることやプロジェクトに迷惑を掛けてしまうことから、会社を辞めて独立する選択をしました。それにより授業に参加しやすくなり、仕事との両立を可能にしました。

一方で論文作成については、スケジュールを細かく管理することで両立できたと思います。 システムを構築する際にプロジェクトが遅延無く進めることができるようにプロジェクト管理という仕事を担当する機会が多くありました。そのため、博士課程前期の論文作成期間である2年間を一つのプロジェクトとして定義し、全体スケジュールからマイルストン(中間報告、学会発表、ジャーナルへの投稿)を置き、WBS(Work Breakdown Structure )を作成するようにしました。基本的にWBSに沿って進めていければ問題ないのですが、仕事の都合などで遅延が発生してしまう場合などは、朝方まで作業することでカバーしてきました。遅延を取り戻すために辛い期間も経験しましたが、仕事でも同じような経験を乗り越えてきたため、追い込み期間についても何とか乗り切ることができました。

論文作成に向けて一つ一つのタスクを可視化することで、長い期間がある中でどこまで終わらせれば良いのかなど暗闇を歩くのではなく、これから歩いていくゴールまでの道のりを可視化することで仕事の調整等を行い、両立が可能になったと思います。

研究をしてみて、どのようなことが得られたか

これまでの仕事生活で如何に視野が狭く仕事をしていたのかを痛感しました。 現場に配属されていながらも、経営層が考える問題・課題を先行研究のどのような事象であるのかを比喩して考えるようになり、そこで述べられている解決策であてはまるのか、またあてはまらない場合どのような事象であるのかを理論的、体系的に考えるようになりました。

大学院生活の中で論文を書く際に重要なのは、「貢献である」という言葉を何回かアドバイスいただきました。自分でこの論文にはどの「貢献」ポイントがあるのかを明確にして、自信満々に「貢献」ポイントを語れるようにしなくてはいけないということを教えていただきました。実務でもクライアント企業へ提案する際に如何に「貢献」ポイントがあるのかを明確にすることで自分しかない付加価値を生み出すことに繋がると感じました。

私は、実務的な考えに偏っている場合がありますが、学術的な考えを社会人として学び、研究することで両方の知識や考え方を得ることが出来たと思います。

博士前期課程修了生
年度 指名
2023 Batjin Natsagdorj
2023 Xiao Yao
2022 匿名(Anonymous)
2022 Ma Minghui
2022 増井 正幸
2021 修了生(匿名希望)
2020 角三 美穂
2019 修了生(匿名希望)
2018 橋本 武敏
2018 椙江 亮介
2015 平岡 憲道
2015 八藤後 聡
2014 市川 千尋
2007 小南 和雄
博士後期課程修了生
年度 指名
2022 朴 峻喜
2021 高山 和夫
2020 天達 泰章
2019 杉山 敏啓
2019 須内 康史
2018 神尾 真次
2018 宮本 弘之
2015 深谷 正廣
2015 田中 恒行
2014 蔡 玉成(さい ぎょくせい)
2012 孔 繁智
2012 酒巻 雅純
2012 目 篤
2012 鈴木 芳治
2011 植林 茂
2010 劉 博
2007 大江 清一
2006 神津 多可思